人生セルフ人体実験

何をするにしても自分で試すのが一番

スカイマークの深夜便(新千歳発羽田行き)を使ってみたら上級者向けだった話

この間、札幌への一時帰省から再び東京に戻ってきたときに、
・荷物が多い、単純に東京の部屋から通いという理由で成田のLCCは使いたくない
・ゆえに羽田便がいいけど安い便は無いか、と探していたらスカイマークが深夜便を運航しているのを発見したから使ってみた
というお話です。
交通費をケチる手段として許容できる範囲かどうかは、判断が分かれる部分だと思われます…。

チケット購入まで

今回、諸事情のためにチケット購入が搭乗の10日前ほどになってしまったのですが、その場合に新千歳~羽田間の航空チケットを買おうとすると、ANAJALは高すぎて論外、ややリーズナブルなエアドゥとスカイマークでもだいたいは16,000円を超えて、人気の便だと2万円台もちらほら。
どうしたものか…と適当にスカイマークの予約サイトを眺めていると、料金表の一番上のほうに7,360円とかいう頭の悪い値段が記載されているのを発見してしまいました。
一体これはどういうことやら、と調べてみると、スカイマークは数年前から期間限定で、需要の見込めるいくつかの路線に深夜便を飛ばしているとのこと。
ちなみに新千歳発羽田行きは、0:10発と1:10発の2便。
さすがに昼間の便の半額以下という安さだと、選択肢の上位への割り込みが発生するのは言うまでもありません。

深夜便の問題点

ただ、深夜便なりに色々面倒なんじゃないかな? という疑問はもちろんありました。
購入前にフライト体験記が無いかどうか検索してみると、何件かヒット。
そこで、どの記事でも触れられていた最大の問題点が、羽田に到着してからの移動手段がかなり厳しいこと。
羽田空港の国内線ターミナルの営業時間は5:00~24:00なので、もう千歳を離陸する時点で営業終了しているわけです。
で、時間外に到着する便から降りてきた旅客は、容赦なく建物の外へと一直線に追い出されます。
そこからの行動をどうにかしなければなりません。さて、どうしましょ?

選択肢

家族や知人なんかがお迎えに来てくれている恵まれた状況だったり、空港の駐車場に自分の車を停めてあるとかだったりなら全然問題ないのですが、生憎わたしの運転免許証は首都圏では身分証明書としての機能しか果たしていません。
ではどうするか。大きく分けて「羽田脱出コース」か「羽田残留コース」の2つがありますが、まずは脱出コースの場合。
・タクシーに乗る
自宅が大田区周辺ならまだなんとかなるかもしれませんが、それ以外だと深夜便をわざわざ選んだメリットが全て吹き飛びます。
わたしが住んでいる23区の西の端までとなると、普通にANAとかJALのプレミアムエコノミーに乗れそうな気が…。
蒲田あたりまで行って時間を潰すにしても、なかなかいいお値段になってしまいそう。
天然温泉平和島に行く
どうやら国際線ターミナルからは、天然温泉平和島までの無料シャトルバスが出ているようです。
ひとっ風呂浴びて朝までゆっくりしたいならアリでしょうね。これも深夜追加料金とかでそこそこいいお値段がしますが。
わたしはお金もないし、他諸事情もあり除外。
というわけで、脱出は現実的ではないしデメリットのほうが大きいですね。

次に残留コースです。
・「ファーストキャビン羽田ターミナル1」を使う
簡単に言うと国内線第1ターミナルにある24時間営業の、なんかカプセルホテルの豪華なやつ、って感じです。
予約をしておけば、深夜に到着してもチェックインして朝10時までは宿泊可能だとか。
到着後、国内線ターミナルに朝まで留まれる唯一の手段ですが、これもコスパは微妙だし、スケジュール上どうしても、って時向けの施設ですよね、どう見ても。
例えば、早朝便に乗るのに始発電車だと間に合わないとか、深夜便で東京に戻った上で翌日朝にそのままどこかに移動する必要がある、とか。
国際線ターミナルに移動する
国内線は閉まりますが、国際線ターミナルは24時間営業しています。
なので、こちらに移動さえできれば、電車の始発まで安全な場所に留まることは可能です。
ただ、問題はその移動手段でして。
1. 無料シャトルバス:深夜なので運行終了済み
2. タクシー:2000円弱という値段は、低予算移動の方針には合わない、タクシーの運転手には嫌な顔をされる可能性が高い、という絶妙な金額
3. 国際線ターミナルまで歩く
今回の選択? もちろん3番だよ!

深夜の新千歳空港

さて、フライト当日。
本来であれば実家から一番近い乗り場から空港連絡バスに乗るところですが、時間が時間なせいでこちらも運行終了済み。
よって札幌駅から新千歳空港駅行きの終電に乗ります。
早朝・夜間は空港駅発着便が一部普通列車になるのをいいことに、快速エアポート運用以外では自由席扱いになるuシートの確保に成功。
乗客の大半は札幌から千歳方面への帰宅者のようで、南千歳駅を出る頃にはわたし以外同じ車両に誰もいないという有様でした。
夜の車内に一人だけというのはそれはそれで結構不安になる。
そんなことを考えながら、新千歳空港駅に到着。乗ってきた列車は折り返し空港発の最終快速エアポートになります。なのでホームで待っていた人の数もそこそこ。

改札を抜けたらそのままエスカレーターで出発ロビーのある2階へ。
時間が時間(この時23時ちょっと前)なので、店は全部閉まっていますし、何なら夜間の清掃や工事が入っている場所も。
とはいえ搭乗まで一時間弱あるので、展望ラウンジから夜の滑走路でも見てみようかな? と3階に上がったところで、警備員に止められてしまうという。
どうやら空港ターミナルビルも23時で営業終了で、深夜便利用者は対象の航空会社のカウンター付近か、保安検査通過後の待合室以外には行けなくなるようです。残念。

深夜便利用時の待合室事情

前述の通り、動けるエリアがほぼスカイマークのカウンター付近に限られる上、店もほぼ全部閉まっているので、出来ることはかなり限られます。
なので、さっさと保安検査を通過し、制限区域内に入ってしまうことに。
その中はローソンが営業していますし、ベンチやPCが展開可能なテーブルも余裕があるので、早めに入って正解でした。
そこでしばらくPCでブログ記事を書いたり、なんとなくサイトを巡回したりして時間を潰していたら、間もなく搭乗開始のアナウンスが流れました。
このあたりは昼でも夜でも特に変わりはありません。

余談:当日の天候状況

実はこの日、新千歳空港は濃霧が発生していました。
そのため、夜9時頃に実家を出発した時点では、折り返しで搭乗予定便の使用機材となる羽田発の便が着陸できずに引き返し、欠航する恐れがある状態でした。
もし欠航になった場合、真夜中の新千歳空港から脱出する手段はタクシー以外に無く、事実上の朝まで足止めコースになるので、道中はちょこちょこネットでフライト状況を確認しつつの移動に。
空港のカウンターに着いた時には既に機材が無事到着していたので、事無きを得たのですが、なかなか不安にさせられた夜でした。

搭乗~離陸

搭乗してみるとさすが(?)深夜便、なかなかの乗客の少なさです。
この人数でも飛ばす価値はあるものなんでしょうか。休日前後とかならもっと席埋まるのかな?
そして、定刻通りの0:10にドアクローズ、雨模様の滑走路を移動開始します。
すると、ずいぶん長い陸上移動の後、ターミナルの照明が左側に見える状態で、南側に向かって離陸。
…これ、航空自衛隊千歳基地側の滑走路から離陸したな?
(後からFlightradar24で調べたらその通りだった)
深夜便は基地側の滑走路を使うって取り決めでもあるのかしらん。
離陸後間もなく、機体は分厚い雲に突入。気流も乱れているのか、時々結構な揺れにも見舞われます。
その後雲を抜けると、揺れも収まり安定飛行に。
そこには月夜に浮かぶ雲海が広がっていました。

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月と主翼

フライト中~着陸

深夜便特有のものなのかはわかりませんが、フライト中は機内照明が減光されることがありました。
本を読むときは読書灯が必要なレベルで暗くなります。
まあ、乗客の大半は寝ていたみたいですけど。
ちなみに、深夜便でもホットコーヒーとキットカットの無料サービスは通常時同様実施されていました。

なお、これも深夜飛行の取り決めがあるのか、仙台付近を過ぎたあたりから、海岸線に沿うように洋上飛行を続け、羽田へのアプローチも房総半島をぐるっと迂回するルートでした。
なので、通常便よりはほんの少しですが飛行時間が長くなります。
で、アプローチ角度の関係か、羽田着陸もD滑走路へ。
海面かなり近くまで高度を落とすんですが、こんな時間(午前2時前)でも、東京湾には照明をつけた作業船やら貨物船やらがそれなりにいるんですね。
海に落ちるんじゃないかと思うくらいの勢いでしたが、無事着陸(当たり前だ)。
ここからターミナルまでもそこそこの距離を陸上移動し、午前2時頃に無事羽田空港に降り立ちました。

徒歩移動開始

さて、今回の移動での一番の関門区間です。
前述の通り、国内線ターミナルは閉まるので、基本的に留まれませんから、24時間開いている国際線ターミナルまで徒歩で移動することに。 北海道からの密輸品でオーバーウェイト状態のキャリーバッグを引きずり、丑三つ時の羽田空港国内線ターミナルから歩きはじめます。
なお、こちらのサイトを参考にしましたが、Google先生が教えてくれる最短ルートは罠です(歩道が無い)。
なので、ターミナルを出たら右手の交番側に進み、南側の海沿いをぐるっと回ることになります。

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こんなあたりからスタート
ルートは全体的に車は結構走っているけど、歩行者はもう全くいないので、これ本当に国際線ターミナルに繋がってるの…? と、結構不安になります。
それこそ場所が場所なら3回くらい強盗に襲われててもおかしくないんじゃないか、って気がしたりとか。
道中、実際に階段を上ったり、建物や陸橋の脇の小道を抜けたりするわかりにくいポイントもあります。
そこから長いトンネルを抜けると、モノレールの高架沿いの道に出るのですが、深夜3時前に羽田の海沿いを徒歩で移動する、なんて経験もなかなか出来るものじゃないよな、と謎のポジティブ思考を発揮。
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深夜3時前のモノレール
その後、国際線ターミナルに近づくにつれ、建物が増えてくるせいでどの道を通っていいかわからなくなり、実際無駄に遠回りをしてしまったんですが、Googleマップ先生の力を借りて、なんとか国際線ターミナルのバス・タクシー乗り場に到着しました。
時間は朝3時ちょっと前です。
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一般人がこっち側から入ることってまず無さそうな

国際線ターミナル到着

ここからが本当の地獄だ…。
国際線ターミナルは24時間開いているとはいえ、電車が動かないことにはここから脱出できないので、京急の始発が動き出す午前5時20分過ぎまで、ここで待機しなければなりません。
しかし、待合室のベンチやら何やらは基本的に全て先客によって占拠されています。
展望デッキにはテーブルが設置されていて、そこが唯一空いていたので、1階にあるローソンでパンとコーヒーを買い、私はそこで始発まで過ごしました。
羽田空港の展望デッキで夜明けを迎える、なんて経験もなかなかないので、これはこれで趣がありましたね。
実際、PCで作業していたら結構捗りました。非日常的な雰囲気がいい感じなんでしょうか。

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午前4時の羽田空港
まあ虫には容赦なく刺されましたが。

羽田脱出~帰宅

午前5時を回り、もう間もなく電車が動き始めるタイミングで、荷物をまとめて移動を開始します。
京急の電車に乗ってしまえば、あとはもう自宅の最寄り駅まで行くだけです。
…が、ここにきてピークに達した疲労が襲い掛かる!
うっかりすると下車駅を乗り過ごしかねないレベルの睡魔と戦う羽目に。
ラッシュ前の時間なので楽に座って移動できるのはいいのですけど、ここで気を抜くとあらぬ場所に運ばれてしまいます。
まあ、無事自宅には朝7時頃に到着できたのですけども。
ちなみに駅から自宅まで歩いたせいか、目が冴えてしまってその後はなかなか仮眠できませんでしたとさ。

感想

正直できればもう使いたくないです。
安いのはいいですけど、それ以外の部分の負担がかなり大きい…。
使うとすれば、フライト前後に十分な時間があり、体調万全の状態で搭乗し、帰宅後はすぐ寝ても問題ないという条件をクリアできるなら、という感じですね。
まあ、体力に自信があって、とにかく安く羽田便を使いたいとか、家が羽田から比較的近いから、羽田脱出がわりと容易とか、そういう環境があるなら結構いい選択肢なんじゃないでしょうか。
早く日中便に罪悪感なく乗れるレベルの生活水準を手に入れたい

しかし、これで上京後の北海道から東京への移動は、
・在来線特急~新幹線乗り継ぎ
・自転車で自走&フェリー+輪行
ときて、今回もなかなかアレなルートだったわけで。
東京→札幌に関してはだいたいいつもまともな移動手段・時間ですが、札幌→東京に関してはエクストリーム移動しないといけない決まりでもあるのかという…。
たぶんこれからも変なルートを見つけては、体を張って実践することになるでしょう。
次回をお楽しみに!